――体を守るために、毎日の食事でできること
「バランスの良い食事を心がけましょう」
とてもよく聞く言葉ですが、
実際の暮らしの中で
「何を、どれくらい食べればいいのか」
まで具体的に説明できる人は、意外と多くありません。
野菜はたくさん?
炭水化物は控えめ?
たんぱく質はプロテインで補う?
情報が溢れる今だからこそ、
**シンプルで、続けられる“基準”**が必要だと感じています。

数字より先に、「感覚」を身につける
栄養学では、
炭水化物〇%、たんぱく質〇g、脂質〇g
といった数値で説明されます。
もちろん、それは大切な考え方です。
ですが、毎日の食事で
数字を計算しながら料理をする人はほとんどいません。
料理の現場や家庭料理を見てきて実感するのは、
食事が安定している人ほど、量の感覚を持っている
ということです。
そこでおすすめしたいのが、
自分の体を“ものさし”にする考え方です。

野菜は「両手いっぱい」
野菜の目安は、1食あたり150〜200g。
感覚的には、
- 生野菜なら → 両手いっぱい
- 加熱野菜なら → 片手2杯分ほど
ここで大切なのは、
野菜を“付け合わせ”にしないこと。
サラダ少々や漬物だけでは、
量としては足りません。
葉物、根菜、色の違う野菜を組み合わせることで、
自然とビタミン・ミネラル・食物繊維が整います。
たんぱく質は「手のひら1枚分」
次に、たんぱく質です。
実は、年齢を重ねるほど
不足しやすい栄養素でもあります。
目安は、1食20〜30gのたんぱく質。
食材で言えば、
- 魚・肉:80〜120g(切り身1枚)
- 卵:2個
- 豆腐:1/2〜1丁
- 納豆:1〜2パック
量としては、
自分の手のひら1枚分をイメージしてください。
筋力、免疫、回復力。
これらはすべて、たんぱく質を土台に成り立っています。
炭水化物は「こぶし1つ分」
炭水化物は、
「太る」「控えるべき」と語られがちですが、
体と頭を動かすための大切なエネルギー源です。
目安は、
- ご飯:茶碗軽く1杯(約150g)
- パン:6枚切り1枚
- 麺類:ゆで200g前後
感覚的には、
こぶし1つ分。
大切なのは、
抜くことではなく、生活に合わせて調整することです。
皿で考えると、バランスは一目でわかる
さらに分かりやすくすると、
1食の構成はこうなります。
- 1/2:野菜
- 1/4:たんぱく質
- 1/4:炭水化物
一汁三菜の形は、
実はとても理にかなった、
体に負担の少ない食事構成なのです。
病気になりにくい体をつくる「もう一つの視点」
ここから少し、
体を守る視点の話を加えてみます。
バランスの良い食事は、
栄養を満たすだけでなく、
病気になりにくい体の土台を整える役割も担っています。
近年、がんや生活習慣病の予防という文脈で語られる食事も、
特定の食材を摂ることではなく、
偏りの少ない食生活であることが共通点として挙げられています。
腸内環境を整える食事は、特別なものではない
腸は「第二の脳」と呼ばれ、
免疫や炎症、さらには心の状態とも関係があるとされています。
では、腸内環境を整えるために
特別な健康食品が必要かというと、
必ずしもそうではありません。
むしろヒントは、
昔からの日本の食卓にあります。
- 味噌
- 納豆
- ぬか漬け
- 海藻
- ごぼう、れんこんなどの根菜
これらは、
発酵・食物繊維・ミネラルを
自然に含んだ食材です。
日常の中に、すでに答えはある
ということなのです。
バランスの良い食事とは、体を「静かに支える」食事
強すぎる味、
脂っこすぎる料理、
単品食の繰り返し。
これらは、腸にも体にも
知らず知らずのうちに負担をかけます。
バランスの良い食事とは、
体を強く刺激するものではなく、
穏やかに、長く支える食事。
これは、日本料理の思想とも重なります。
完璧を目指さないことも、バランス
最後に、とても大切なことを。
バランスの良い食事とは、
毎食100点を取ることではありません。
忙しい日もあります。
疲れている日もあります。
そんな日は、
- 主食
- 主菜
- 野菜1品
これだけでも十分です。
7割できていれば、合格。
続けられない食事法は、
どんなに理想的でも意味を持ちません。
まとめ:体が覚える、ちょうどいい量
- 野菜:両手いっぱい
- たんぱく質:手のひら1枚
- 炭水化物:こぶし1つ
この感覚を持つだけで、
食事は驚くほど安定します。
食は、治療ではなく、暮らし。
今日の一食から、
静かに体を整えていきましょう。
