

なんで世界の料理ってワクワクするんだろう。
たとえば、YouTubeでたまたま見かけた屋台の映像。インドの屋台で、なんだかよく分からない揚げ物を、パパッと作っては次々売ってる様子。香りなんて届かないのに、なんだかお腹が鳴る。
あるいは、海外旅行中、地元のスーパーで出会った見たことない調味料や野菜たち。読めないラベル、謎のパッケージ。それでもなぜか「ちょっと買ってみようかな」って思ってしまう。
結局、食べ物って「知らない」が「面白い」に変わる瞬間をくれるんですよね。
私自身、日本料理を教えているけど、ある日、外国から来た生徒さんに味噌汁を出したときに「これって、なに味?」って聞かれてドキッとしたことがあるんです。
私にとっては当たり前すぎて考えたこともなかったけど、「あ、出汁って“日本独特”の味だったんだな」って気づかされて。
逆に、あちらの国のスープの話を聞いたり、家庭の味を教えてもらったりして、「こんなに違うのに、どこか似てるなぁ」とか「なるほど、その発想!」なんて、刺激をもらうことも多くて。
料理って、ほんと不思議です。言葉が通じなくても、笑顔と「おいしい!」だけで通じ合える。食材を切ったり、鍋をかき混ぜたり、味見したり。そういう“共有の時間”のなかで、知らなかった文化がちょっと身近に感じられる瞬間がある。
「これは醤油で煮るの?」「そっちはココナッツミルク?」みたいな会話から、いつの間にかお互いの国のことまで話していたりして。食文化の国際交流って、実はぜんぜん大げさな話じゃないんだと思うんです。

外交でもないし、イベントでもない。ただ、「それ、どんな味?」「ちょっと作ってみたい!」っていう、日々のほんの小さな好奇心から始まってる。
最近、私も海外のスーパーで買ってきた不思議なスパイスを、ちょっと和食に混ぜてみたんです。結果は……まだまだ研究中(笑)。でも、こういう実験が楽しい。失敗しても、「あ、こうなるのか」って学びになるし、成功すれば新しい味が生まれる。
きっと、国と国、人と人がつながるきっかけって、そんな小さな「やってみようかな」なんですよね。

だから今日も、ちょっと変わった食材やレシピを見つけたら、まずは手に取ってみる。「なにこれ?」って思った瞬間が、きっと世界への扉の前に立った瞬間なんだと思います。
食べるって、やっぱり楽しい。
知らない味に出会ったり、思いがけず懐かしい気持ちになったり。料理って、日々の暮らしの中でちょっとした冒険ができる、最高のエンタメなのかもしれません。