柿澤ひとし 「一言で美味しいとは、なんなんだろう！ときどき考える。
なぜなら、本当に美味しいと勝手に美味しいと口に出してしまうからだ。
直感的にというか、、、。
食材そのものの味わい、料理の香り、そして食感——
これらの要素が合わさると、舌の上で魔法のようなハーモニーが生まれる。
しかし、それだけではない。美味しさを感じる背後には、私たちの記憶や感情、そして五感すべてが関与している。
たとえば、家族で囲んだ食卓の温かさや、大切な人と過ごした特別な時間。
料理そのものが持つ味以上に、その場の雲境や一緒に食べた人々の笑顔が、
美味しさをさらに引き立ててくれる。
つまり、味覚だけでなく、視観、嗅観、聴観、そして触観——
すべての感覚が美味しいという感動を作り上げている。
また、季節や食材の新も重要な要素だ。
新の食材はその時期に最も栄養が豊富で、風味が高い。
たとえば、春には山菜のほろ苦さ、夏にはトマトの甘酸っぱさ、秋には栗のほっくり感——
これらはどれも、その季節だけの特別な美味しさを感じさせてくれる。
さらに忘れてはならないのが、作り手の心だ。
丁寧に選ばれた食材、時間をかけて仕込まれた調理法、
そして「美味しくなってほしい」という願い。
この思いが込められた料理は、必ず食べる人の心に響く。
シンプルな家庭料理でも、シェフが腕を振るう一皿でも、その中には作り手の思いが詰まっている。
先日、家族だけのクリスマス会を終え、余ったローストチキンの骨を湯幡と一緒にして、一時間ほど弱火で煮込み、チキンスープにした。
塩を輕く入れるだけで、極上にスープになるのだが、これも手間暇かけたというよりは素材そのもの恩恵だろう。
大人も小さな子供、家族集まってチキンスープをいただく。
「美味しい」という合言葉のもとに、クリスマス会の余韻を感じるのだ。
楽しいとか美味しいとかを共有できることも料理の魅力の一つ。
だからこそ、美味しさとは、單なる味覚の体験を超えた、五感と心で感じる感動そのものなのだ。